「せっかく資格を持っているのに、フルタイムで働くのは難しい…」そんな風に考えている薬剤師ママさんも多いのではないでしょうか。
特に、家事や育児と両立しながら、扶養内パートで少しだけ働くという選択肢はとても魅力的です。
ただ、扶養内で働くには「どのくらいの時間までなら大丈夫?」や「週1~2でも働ける?」といった疑問も。
薬剤師は時給が高いため、一般的なパートとはちょっと違った注意点もあります。

扶養内で働くための収入の上限や月の勤務時間の目安、週1~2日勤務なら扶養内が可能かどうかについて、分かりやすく解説します。
薬剤師が扶養内でパートで働くにはまずはその範囲を把握せよ!


薬剤師として扶養内でパート勤務をするなら、収入の上限と勤務時間のバランスをしっかり把握しておくことが必須です。
なぜなら、薬剤師は時給が高いため、少し働いただけで扶養の枠を超えてしまう可能性が高いからです。
まず、扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
税制上の扶養
税制上の扶養では、年収103万円以下なら配偶者控除の対象になり、所得税がかかりません。
ただし、103万円を超えても150万円以下であれば、配偶者特別控除を受けられるため、完全に損をするわけではありません。
ただし控除は『段階的に』適用されるのでその点はご注意ください。
社会保険上の扶養
一方で社会保険上の扶養に関しては、年収130万円未満であれば配偶者の社会保険に加入でき、健康保険や年金の負担がかかりません。
しかし、年収130万円を超えてしまうと自分で社会保険に加入する必要があり、手取り収入が減る可能性があるため注意が必要です。
さらに、勤務先が一定規模(従業員51人以上)の場合、週20時間以上かつ月収88,000円以上(年収106万円以上)で社会保険加入義務が発生するケースもあります。
※2024年10月から、従業員「51」人以上に変わりました(以前は101人でした)
つまり、「全て扶養内で働きたい」と考えるなら年収103万円以下におさめないといけないので、月収8万5800円以下を目安に、勤務時間を調整することが重要です。
※年収の金額は2025.3.6時点のものとなります。今後法律が変わる可能性も高いので、就職の際には最新の情報をご確認ください。
薬剤師が扶養内でパートするための月の勤務時間は?週1~2日なら可能?


扶養内でパート勤務をする場合、「時給×勤務時間=年収」をしっかり計算しておくことが大切です。
特に薬剤師は時給が高いため、少し働くだけで扶養の範囲を超えてしまう可能性があります。
では、具体的にどれくらい働けるのでしょうか?
扶養内の月間勤務時間
時給2000円の場合
年収103万円以内(税制上の扶養)
→ 月収8万5,833円以下に抑える必要あり。
→ 月42.9時間以内(週10.7時間程度)が目安。
例)週2日×4時間勤務もしくは週1日×8時間ならセーフ。
年収150万円以内(配偶者特別控除の範囲)
→ 月収12万5,000円以下なら控除を受けられる。
→ 月62.5時間以内(週15.6時間程度)が目安。
例)週1日×8時間+週1日×4時間勤務ならOK。
年収106万円以内(社会保険の扶養)従業員が51人以上の職場
→ 月収8万8,333円以下に抑える必要あり。
→ 月44.1時間以内(週11時間程度)が目安。
例)週1日×8時間+週1日×3時間勤務ならギリギリセーフ。
年収130万円以内(社会保険の扶養)従業員が50人以下の職場
→ 月収10万8,333円以下に抑える必要あり。
→ 月54.1時間以内(週13時間程度)が目安。
例)週1日×8時間+週1日×4時間勤務ならセーフ。
時給2500円の場合
年収103万円以内(税制上の扶養)
→ 月収8万5,833円以下に抑える必要あり。
→ 月34.3時間以内(週8.5時間程度)が目安。
例)週2日×4時間勤務もしくは週1日×8時間ならギリギリセーフ。
年収150万円以内(配偶者特別控除の範囲)
→ 月収12万5,000円以下なら控除を受けられる。
→ 月50時間以内(週12.5時間程度)が目安。
例)週1日×8時間+週1日×4時間勤務ならOK。
年収106万円以内(社会保険の扶養)従業員が51人以上の職場
→ 月収8万8,333円以下に抑える必要あり。
→ 月35.3時間以内(週8.8時間程度)が目安。
例)週1日×8時間ならギリギリセーフ。
年収130万円以内(社会保険の扶養)
→ 月収10万8,333円以下に抑える必要あり。
→ 月43.3時間以内(週10時間程度)が目安。
例)週2日×4時間勤務もしくは週1日×8時間ならセーフ。
ただし、130万円を超えても一時的な増収の場合は連続して2年間では扶養内にとどまれるという「対策」もあります。
(事業主がそれを証明し、扶養してもらっている配偶者の所属企業の健康保険組合などが認めた場合)
扶養内の週間勤務日数
時給2,000円なら、月に50時間以内、週1~2日勤務でも十分収まる計算。
結論として、週1~2日であれば十分扶養内で働くことが可能ということになります。
ただし、週2日働く場合は1回の勤務時間を4時間程度に抑える必要があります。
そして、130万円を超えると社会保険の扶養を外れ、手取りが減る可能性があるため、収入の増減を確認しながら調整できる職場を選ぶのがポイントです。
つまり、勤務時間を上手にコントロールすれば、扶養内で無理なく働けます。
まずは「どの扶養の範囲で働くか」を決めて、最適な働き方を計画しましょう。



扶養内で働くメリットとデメリットを理解した上で、自分にとって最適な働き方を選びましょう。
薬剤師が扶養内でパートで働くために職場を選ぶ!


扶養内でパートとして働くなら、「どこで働くか」がとても重要です。
薬剤師の時給が高いことを考えて、勤務時間の調整がしやすい職場を選ぶことがポイントになります。
どんな職場が向いているのか?
✔ ドラッグストア → 扶養内パートの募集も多く、比較的柔軟なシフトが組める
✔ 調剤薬局 → 午前のみや土日勤務など、希望に合わせて働きやすい
✔ 病院薬剤師 → 求人は少なめだが、パート枠がある場合も
勤務時間の調整がしやすい環境なら、「週1~2日だけ働きたい」「午前中だけがいい」といった希望が通りやすくなります。
職場を選ぶときのポイント
・扶養内での勤務に配慮しているか → 求人情報や面接で確認する
・シフトの柔軟性があるか → 勤務時間や日数を調整できるかをチェック
・短時間勤務の求人があるか → 午前中のみ、週2~3日OKなどの条件を探す
また、働き始める前に「月○時間以内で働きたい」と具体的に伝えておくと、お互いに認識のズレがなくなります。
さらに、「扶養を超えそうになったら調整できるか?」も事前に相談しておくと安心です。



職場選びをしっかりすれば、扶養内で無理なく働くことができそう!



自分のライフスタイルに合った職場を見つけて、賢く資格を活かしましょう。
薬剤師が扶養内でのパートを探しやすい求人サイトは?


扶養内で働ける薬剤師のパート求人を探すなら、「検索のしやすさ」や「条件交渉のしやすさ」を意識するのもポイントになります。
どのような方法があるか、チェックしてからあなたの理想の勤務先を探していきましょう!
転職サイトで条件を検索
薬剤師専門の転職サイトでは、「扶養内勤務OK」や「週1~2日可」などの条件で求人を探せる場合が多いです。
例えば次のサイトは、扶養内のパート探しにも強いと言われています。
- ファルマスタッフ:調剤薬局やドラッグストアの求人が豊富なので扶養内パートの募集も多い
- 薬キャリ:調剤薬局やドラッグストアはもちろん、病院や企業など多くの求人あり。扶養内での働き方を相談しやすい。
- マイナビ薬剤師:担当者がついてくれるため、勤務時間の調整などの交渉もしやすい。
ハローワークで地元の求人を探す
地元の調剤薬局やドラッグストアでパートを募集しているケースもあります。
大手の転職サイトには載っていない求人も多いため、近場で働きたい場合はチェックしてみると理想の職場が見つかるかも。
知人の紹介を活用する
もし、知り合い経由で薬剤師のパートを探しているという情報をもらえれば、個人経営の調剤薬局を紹介してもらえることも。
個人薬局は大手に比べて勤務時間の調整がしやすいことが多く、扶養内で働きたい人にとっては穴場かもしれません。
また、知り合いも知っている職場ならその場所の雰囲気も聞くことができます。
求人の探し方次第で、働きやすさは大きく変わります。



転職サイト、ハローワーク、知人のつながりをうまく活用しながら、自分にピッタリ合った職場を見つけていきましょう。
もしも薬剤師パートで扶養を超えそうになってしまった場合の対策は?
扶養内で働くつもりだったのに、気づけば「このままだと130万円を超えてしまうかも…!」という状況になることも。
特に薬剤師は時給が高いため、少しシフトを増やしただけで収入が増えやすいのが大きなメリットですが、「扶養内」という点ではデメリットです。
そんなときに取れる対策は、大きく分けて「勤務時間を調整する」か、「いっそ社保に加入する」かの2つです。
勤務時間を調整する(シフトを減らす)
「あと少しで130万円を超えてしまう!」という場合は、事前にシフトを減らすことで調整が可能な場合があります。
特に年末が近づいてきたら、早めにこれまでの収入を計算し、扶養の範囲内に収まるように調整するのがポイント。
また、収入が約10万8千円を超えないように毎月気をつけていると安心です。
少しオーバーしてしまったら、「来月は少し減らしたい」と早めに職場に相談し、調整できる環境を作っておきましょう。
いっそ社会保険に加入する
もし年収130万円を超えそうなら、「社会保険に加入した方が得かどうか?」も考えてみるのも選択肢のひとつです。
特に106万円を超える場合に勤務先によっては社会保険の加入対象になるケースもあるため、計算次第では手取り額がそこまで減らないケースもあります。
たとえば、
- 年収130万円ギリギリで抑えても、結局シフト調整が大変…
- もう少し働きたいけど扶養を気にしてセーブするのはもったいない…
こんな場合は、いっそ社保に加入し、働く時間を増やして安定収入を確保するのもアリです。
ちなみに厚生年金で考えた場合、年収106万円を超えると一度手取りは減りますが、125万円を超えるところで再び手取りが増えていきます。



その点も考えて働き方を決めると良さそう!
扶養内で働くなら、最初に伝えておくのが大事!
扶養を超えてしまうと、税金や社会保険の負担が増えてしまい、手取り額に影響が出ます。そのため、最初の就職時点で「扶養内で働きたい」ことをしっかり伝えておくことが大切です。
また、職場によっては「扶養内で調整可能な職場」と「忙しい時期は調整しにくい職場」などあるため、求人を探すときに事前に確認しておくと安心です。



「働きたいけど、損をしたくない!」という場合は、ちょっと面倒ですが勤務時間と収入のバランスを考えながら、賢く調整していきましょう。
まとめ
扶養内で薬剤師パートをする場合、「103万円・106万円・130万円の壁」を意識して、働き方を調整することが大切です。
特に、時給が高いため、勤務時間をしっかり計算しておかないと、気づかないうちに扶養を超えてしまうことも。
具体的には
✔ 週1~2日勤務で「税制上の扶養内」も可能(時給が高いので注意が必要)
✔ 月の勤務時間はおおよそ40~50時間が目安(時給2,000円の場合)
✔ 年収が扶養の上限を超えそうなときは、シフトを調整するかいっそのこと社保加入を検討
となります。
家庭やプライベートと両立しながら、資格を活かして働けるのが薬剤師パートの魅力。
無理のない範囲で、あなたにとっての『ちょうどいい働き方』を見つけてみてくださいね!
コメント